すべてが思い出になる前に
薬局に患者さんがいなくなり、閉店の20:00を前にして少しずつ片付けを始めた頃。壁に掛けられている大きな時計を見ると19:50だった。
店長が涼太の肩を叩いた。
「宮﨑くん、今日はもう上がっていいよ‼︎」
「いやでも、まだ片付けが途中で…」
「もう患者さんいないし、あとはやるからさ」
「はい、ありがとうございます」
「また来週も頼むな!」
定時より早く上がる事になった涼太は、裏口から出て白衣を脱いだ。
数分後、控室から出てクロスバイクに跨り自宅の方へ走り出した。
定時より早く帰れる日は稀にしかない為、これから家に帰るとしても、何をしたらいいのか分からなかった。