すべてが思い出になる前に




「お待たせ致しました。今日はどうされましたか?」


「朝から胃腸の調子が悪くて…」



そう答える女性患者はあまり顔色が良くない感じがする。


話す内容通り処方箋を見た涼太は、患者に合った薬だと確認する。



「今回2種類のお薬がでています。それぞれ5日分、朝昼晩の3回です。一度服用されたら7時間空けて飲むようにしてください。処方された薬の内容は手帳に貼っていますのでご覧下さい」



はいと返事をする患者さんだったが、涼太の白衣に付けている揺れる名札の方に視線が落ちていた。


そんな事に気付かない涼太は、「お大事に」とだけ伝えて患者を見送った。






< 196 / 369 >

この作品をシェア

pagetop