すべてが思い出になる前に
電話をしながら住宅街の角を曲がったところで足を止めた。
視線の先には涼太が住むアパート前で、女性の後ろ姿が見えた。
「私もちょうど連絡しようと思ってたとこだったの。たまたまこっちに用事があったから、涼太のアパートの近くにいるんだけど…」
「後ろ見てよ」
電話をしながら後ろを振り返った友理奈は、ようやく涼太に気付いた。
白い歯を見せて笑う涼太を見て、電話を切った友理奈は涼太の方に駆け寄った。
「ビックリした⁉︎気付いたならすぐに声掛けてよ!」
「声掛けたじゃん、それより今日はどうしたの?」
「あぁそうそう‼︎」
友理奈はカバンからゴソゴソと何かを探し始めた。