すべてが思い出になる前に
スーパーを出て涼太は駐輪場でクロスバイクを取り出し、先を歩く友理奈に追いついた。
「荷物持つよ」
「ありがとう」
涼太はクロスバイクを押しながら、友理奈は周りの景色を見渡しながら歩道を歩いていた。
「ねぇ涼太、1つ聞きたいことがあるんだけど」
「何だよ」
「ずっと心の中で思い留めていたことがあって。涼太って推薦を蹴ってまで違う進路を選んだ。その時涼太は『またテニスで肩を壊してプロになれなかった時のことも考えて』って言ってたけど、理由は他にもあったんじゃないかなって。ごめん、昔の話を掘り返したりして…」
友理奈の話を聞いて、涼太は自分の口元を手のひらで隠しながらフフフと鼻で笑った。