すべてが思い出になる前に
「友理奈にはやっぱ敵わないな。ちょっとした隠し事さえ出来ない」
涼太はクロスバイクを押しながら隣にいる友理奈に微笑んだ。
「父さんは俳優、兄ちゃんはラグビー選手、二世俳優と呼ばれるのも嫌だったし、スポーツをしてて兄ちゃんと比べられるのも嫌だった。だから俺は怪我をしたことがキッカケで、医療従事者として人々の為に役に立ちたいと思うようになったんだ。
それと…好きな人が出来て結婚するとなれば、多少の貯金は必要だろ?俺は今までの人生で一度も後悔なんてしてない」
「意外と現実的な考え方だったのね。薬剤師は国家資格で誰しもがなれるわけじゃない。資格を活かして働ける素敵な仕事だし、研究者を目指して夜遅くまで頑張ってる涼太を凄く尊敬してる」
友理奈は涼太の方を見てクシャッとした笑顔を見せた。