すべてが思い出になる前に
「失礼します、2年テニス部の宮﨑です」
「おぉ宮﨑、こっちこっち‼︎」
顧問の先生が遠くの席から手招きをした。先生の側に寄り、何を言われるのか予想がつかない涼太はソワソワしていた。
腕組みをして座っていた先生が重い口を開いた。
「今までシングルスで試合に出していた。宮﨑、この際ダブルスに転向しないか?」
「ダブルスですか?」
顧問の言う通り、シングルスしか練習していなかったし、試合もシングルス一本だった。でもなぜ今のタイミングでダブルスに⁉︎
涼太は顧問の考えが全く理解できなかった。