すべてが思い出になる前に
とある放課後の練習中に、ある部員が顧問に声を掛けた。
「どうして宮﨑と犬養をペアにしたんですか?もともと宮﨑はシングルスで、犬養は別の奴と組んでましたよね?」
「同じような性格の2人では相手に考えを読まれてしまう。最悪の場合同じボールを同じようにミスする。お互いがお互いを厳しく監視し合う事で共闘し、互いに成長出来ると思ったからだ」
顧問はテニスコートで練習している涼太と翼を見て深く頷いた。
練習後、涼太は1人で学園都市駅のホームで電車を待っていた。
散った桜が春風でホームにまでヒラヒラと飛んできていた。