空に願いを…
あの時、変な意地を張らなければ…
勇気を出して
『産みたい』と言っていたら…
空はその覚悟が出来ていたんだと思う
あの時、決断したのは私だ
「桜はどうしたい?」
まだ短大生で未成年
成人式はみんなと振袖を着て
馬鹿やって、飲んで
短大を卒業したら、就職して
OLさんして、ランチに行ったりして…
そんな淡い社会人に憧れていた
そして、安易な考えで
次がある、と勝手に思ってしまった
産みたい気持ちもあったが
産みたい気持ちより、
目先の気持ちがの方が勝ったのだ
中絶したあと、それをどれだけ後悔したか、どれだけ涙を流したか…
指輪を手に取り、左手の薬指にはめてみた
当たり前だけどピッタリだ
リングの中心に小さな石が入っている
桜、そう呼んでほしい
また、笑顔が見たい
もう遅いんだと改めて思い知った