one more chance――美少年は女総長――

教室に着き、ホームルーム。

「転校生を紹介する」

俺は転校生とか興味がなく窓の外を見ていた。

だけど「柚原 姫乃です」

そう聞こえた。

え?

今なんて……?

まさかそんなはず……。

そんなはずないと思いながらも転校生の方を見る。

髪はストレートに毛先が少しカールしていてお姫様みたいな髪型をしていたが、顔は昔の面影が残っていて、幼いながらも俺を睨んで見ていたあの時の女の子だった。

柚原が近づいて来る。

一歩一歩と時間が長く感じた。

「よろしくね。名前何ていうの?」

そう言って俺の隣の席に座る。

どうやら隣の席だったみたいだ。

一瞬気付かれたのかと思った。

だけど安心はしていられない、俺があの時の子だと知れば柚原の母親に何かされる、そう思ったから。

俺は柚原を無視した。

聞こえなかったかのように。

それでも柚原は俺に毎日のように話し掛けてきた。

俺はこの子の事誤解していたのだろうかいつ日か普通に会話をするようになった。

俺らが全国1の族だって知っても普通に接して来ていた。

中学卒業したら柚原とは関わらないそう思っていた。


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