one more chance――美少年は女総長――
「こいつ、ほんとは女なんだ。だから姫乃に…姫になって欲しくなかったんだ!」
違う…
「だから龍に姫がいないのか?」
「騙してたのか!」
違う…違う、騙してない。
「何で姫乃を殴った」
そう言って一人の幹部が俺を殴った。
「俺じゃない…俺はそんなことしてない」
俺は隼人の方を見る。
隼人は俯いたまま顔を見せない。
隼人も俺がしたと思っているのか?
俺がもっと早く女だと言っていれば何か違ったのか?
なあ、隼人…
何か言ってよ…
それでも俯いたまま動かなかった。
「出ていけ!今日から隼人が龍の総長だ!」
「もちろん、姫乃に危害が来ないよう俺達の姫にしてもらう」
「もう二度と来るなよ」
最後に龍を倉庫を出る間際に隼人にしがみついて、誰にも築かれないように勝ち誇った笑みを浮かべた柚原を見た。