one more chance――美少年は女総長――

「こんな時間か、みんな風呂に入るなら入っていいよ」

「はーい」

「洸、布団出すの手伝って」

「はーい」

俺は押し入れを半分開けた所で手が止まった。

しまった!

こっちは…

中学や杉森高校でバスケ部にいた頃のトロフィーやらが入っていた。

俺は慌てて閉め、後ろを見る。

見られて無いよな……?

―――っ!?

愁がこっちを見ていた。

見られた?

そんなことを思っていると洸に呼ばれた。

「伶ちゃん?」

「な、なんでもない」

そう言って隣の押し入れを開けた。

布団を敷いていると優太が風呂場から顔を出した。

「優人、港3人まで入れそうなんだけど一緒に入んねえ?」

「3人一緒楽しそう」

「おい、港!」

港が優人の腕を引っ張って風呂場へと入って行った。

「次、俺らも一緒に入ってこよーぜ」と類が言うと。

「え~、伶ちゃんと入るー」

「お前アホか!」

洸と類が言い争いを始めた。

「愁」

さっきのあれは見られていたのだろうか…?

「ん?」

「さっき何か見た?」

「?何を?」

「いや、何でもない」

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