one more chance――美少年は女総長――

その場にいた全員の目線は、愁の手の中のカツラでわなくその下にあった
俺の本来の髪。

地毛だ。

一瞬の沈黙を破るかのように、俺の隣にいたクリーム色っぽい茶髪の男子が立ちはだかる。

「お前、その髪」

やべー
やっぱりバレるか…

「「龍」の総長だろ」

その声に周りにいた奴らが騒ぎだす。

「なぁ、龍ってあの龍か?」

「全国No.1の?」

「あり得ねぇよ、彼女「女」だぜ?」

女と言われた事にムッとして立ち上がった瞬間。

「何とか言ったらどうだ!」と殴り掛かってきたから、思わず避けた瞬間にその腕を パシッ!と払い除けた。

「――――っ!!」

キーン コーン カーン コーン
ガラッ

予鈴と共に教師が入ってきた。

「授業始めるゾー…ってあれ?何してんだお前ら」と何処かで聞いた声。

あぁ、次の授業お前だったんだ秀平。

関堂 秀平(せきどう しゅうへい)
俺の前の総長の時の元龍。 何故か教師になった。

「つーか伶、なにバラしてんだ」

言いながら自分の頭を指した。

ちょっとムッとした。
だって俺のカツラを掴んで立っている愁といい
この状況を見てなんとなく解っているはずなのに
昔から気付いててわざとらしい言い方をしてくるコイツにムカついた。

「俺じゃねーよ、こいつのせいだ」

そう言って愁が掴んでいる物をひったくった。

「どこ行く、授業始めるぞ」

「着替えてくる、バレたし」

唖然としている連中を無視し教室を出た。


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