人魚になんて、なれない
校舎に入るまで見送って、プールサイドから飛び込む。


暖められたからだが冷やされて気持ちがいい。


光の柱がいくつも降る中、ドルフィンキックで潜水しながら考えた。


……なんで合宿に参加しないか聞かなかったんだろ。


あたしは聞かれたくなかったからいいんだけれど、今までの人は必ず聞いてきた。


気になって当然だから。


ひとりで合宿する部員なんて、聞いたことないもん。


「……二ノ宮海音、か。変な先生」


つぶやいて、あたしは今日の練習を開始した。
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