押しかけ社員になります!

「西野…起きられるか?
俺、あっちに行くから、具合が悪く無かったら、軽くシャワー使うといい。さっぱりしたいだろ。ここを出て、廊下を歩いて行けば解るから。
女性用の物は無いが、何でも好きに使っていい。タオルとかも解るはずだ。
じゃあ、俺はあっちに行くから、いいぞ」

…部長。

「部長!待って。待ってください」

なんて大胆な事を。
ドアに向かう部長に後ろから抱き着いていた。

「部長…もう、酔ってなんかいません。痛くても、頭はしっかりしています。
部長、…好きです。…好きなんです。…本当なんです。嘘じゃないんです。ふざけてなんていません。
…苦しいです。毎日、…苦しいです」

「西野…」

回した腕を優しくトントンとして、解こうとする。

「嫌、…嫌です。このまま。…もう少し、このままで。
部長が受け入れられないというのは解っています。だから、せめてもう少しだけ…このまま、お願いします」

「…駄目だよ、西野」

「嫌、解りません。部長は…酷い。
私の気持ち、知ってるじゃないですか。私、…お弁当まで作ったりして。
それなのに、意味が解りません。
…聞かない私も私です。
作って欲しいと言われた事は嬉しいけど、解らなくて余計苦しいんです」

「西野。俺は…。いや、俺では駄目だ。
…すまなかった。俺も悪かったんだ。
つい、…週一でいいなんて、弁当を頼んだりして。
中途半端な事をした。…もう止めよう」

嫌、今更…これでは、もう何もかも無くなってしまう。何もなかった事にされる。今まで提出していた書類の事だって、なかった事に。
やっぱり込み上げたモノ、勢いで口に出さなければ良かった。
大きな背中で首を振り続けた。
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