その背中、抱きしめて 【上】



薄い朝もやに包まれた湖畔。

私の視線の向こうの方から走ってくる人影が見えた。


高遠くん…?


心臓がドクンと大きく鳴った。

少しずつ近づいてくるその人影は



「高遠くん」



呼んでみた。

私に気付いて、ゆっくり視線を合わせてくれる。

スピードを落として…私のそばにきて。



「おはようございます」


少し微笑んだ。

「先輩、今朝も早いんですね」

私の隣に座る。



会いたいと思ったのに、いざ会うと恥ずかしくてまともに顔が見れない。

昨日のことを思い出しちゃって。

下向いたまま会話する。


「実は一睡もできなかったんだ。それで散歩」

「…俺に会えるかと思って?」


なっ!!?


「ち、ちがっ!!」


違くないけど!

違くないけど否定させて!!

自分のしてることが恥ずかしすぎる!!!

しかもそれを高遠くんに見透かされてるのが、もっと恥ずかしすぎる!!!



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