その背中、抱きしめて 【上】
「あ、そういえば俺、先輩に聞きたいことがあったんです」
え?
「先輩、スパイク打つの左なのに、右手でスコアつけてるじゃないですか。箸も右で持ってるし。利き手どっちなんですか?」
「両利きなの。右手でもスパイク打てるし、左手で箸も持てるよ。レフトから打つ時は右で打ってたしね。ライトからも右で打てるんだけど、中学の時の監督がライトの時は左の方が有利だからって」
高遠くんの目が少し大きく見開かれた。
「そっか…両利き。。。天性の才能ですね」
「私は、高遠くんの方が全然すごいと思う。だって、もともと右利きなのに左に変えて。短期間で利き腕と反対の腕であれだけのスパイク打てるなんて、どれだけの努力をしたんだろうと思ったら…涙が出るよ」
やばい、ほんとに目頭が熱くなってきた。
「だって、本当に先輩と同じフォームにしたかったんですよ。同じスパイクが打ちたかった。そのくらい衝撃を受けたんです。最初は鏡のように、先輩のフォームを右打ちで再現しようと思ったんですけど…真似は出来たんですけどやっぱり違うなって思って、同じにするんだったら全部同じにしなきゃだめだって思って」