その背中、抱きしめて 【上】
ピンポーン。
「あ、タクシー来たかな」
高遠くんがインターホン越しに応対する。
「先輩、タクシー来ましたよ。もしかしたらまだ制服乾いてないかもしれないから、そのまま帰っちゃっていいですよ」
高遠くんに促されて、乾燥室に制服を取りに行く。
触ってみると、半乾きだった。
着て帰れないこともないけど…。
でも、高遠くんのにおいに包まれて帰るのもいいかな。
「高遠くん、まだ乾いてないから服借りてもいい?」
「いいですよ」
ブラだけはつけて(いくらタクシーとはいえ、さすがにノーブラじゃ帰れない)制服と靴下はバッグに押し込む。
男物のカジュアルファッションにローファーという超ミスマッチなカッコだけどしょうがない。
靴を履き終えて高遠くんにお礼を言う。
「雨宿りさせてくれてどうもありがとう。助かったよ。あと、タクシーも。まだ小雨降ってるから見送りはここまででいいよ」
「俺の方こそありがとうございました。送ってもらったばっかりに濡れちゃってすいません」
高遠くんが申し訳なさそうな顔をした。