その背中、抱きしめて 【上】
高遠くんの懸念は当たりつつあった。
相手に2セット先取されて3セット目も追いかける展開。
バレーは先に3セット獲った方が勝利。
ようするに、このセット負けたら…夏の大会1回戦負け。
ピピーッ。
羽柴くんがスパイクをふかした。
スパイクを大きく打ちすぎてコートに入らないことをバレーでは『ふかす』っていうんだけど、今日羽柴くんのスパイクはふかしが多い。
相当力が入っちゃってるんだと思う。
高遠くんが怪我をした時、相手に真っ先に食って掛かったのは羽柴くんだった。
それを高遠くんが制した。
羽柴君はまだ根に持ってるんだ。
高遠くんをわざと怪我させたと思ってる。
それはたぶん近くで見ていて、悪意があったって確信したからなんだろうけど、それは本人にしかわからない。
(羽柴くん、落ち着いて。感情的になったらいいプレーはできないよ)
でも、あと…相手が3点取ったら。
21点目を取っちゃったら。