その背中、抱きしめて 【上】
ルンルン気分で部活に向かう。
「ゆず、ゴキゲンじゃん」
体育館でも私のニヤニヤは止まらない。
男バレ部員からも茶化される。
「ゆず最近、高遠につきっきりだから寂しいんですけどー」
「そうそう。全然こっちの練習見てくれないし」
そう言いながら肩を抱かれそうになる。
でもこんなの、男同士で肩を抱くのと同じ感覚。
いつも通りのやり取り。
いつも通りの光景。
その時、背後から首に腕を回され、私の体が後ろに傾く。
「ぅわっ…」
「すいません、先輩。毎日柚香先輩を独占しちゃって」
首に回された硬い両腕、頭のすぐ上から降ってくるゾクっとするほど愛しい声。
「たーかーとーおー。お前遠慮して、こっちの練習にゆずをよこせ」
「それは無理ですよ。だって俺、怪我してるから1人じゃ練習できないんですよ」
首っ!首っ!
腕っ!腕っ!!
ちょっと3人とも、このままの状態で話してるけどおかしいでしょ!?
3人でひとしきりギャイギャイ(といっても高遠くんは冷静だけど)言い合って、2人は去っていった。
「先輩、さっき肩抱かれそうになってたでしょ。無防備すぎ」
耳元で囁かれて、顔から湯気が出る。
「また耳まで赤くなった」
そう言って、高遠くんは離れた。
そりゃ耳まで赤くなるよ。
だって、肩抱かれそうになるのを阻止しに来たってことでしょ?
(やっばい…キュンキュンする…!!)
抱きつきたい衝動を抑えるのが大変。
クールなようで結構ヤキモチ焼きっていうギャップがたまりません。
(そのうちキュン死にするかも、私)