その背中、抱きしめて 【上】



高遠くんは本当に喋らないし、話しかけてもそっけない。

「はい」とか「いえ」とか「あぁ」とかしか発さない。



今年の新入部員は結構明るい子が多いから、余計目立ってクールに見えちゃうんだよね。


いつも一緒にいる前田くんいわく

「俺が一方的に喋ってるからそれでいいんです。聞いてるか聞いてないかわかんないけど、あんなすごい奴と一緒にいるだけで本望ですよ!」


健気な子だなぁ。




「あ、もしかして前田くんと高遠くんもこれから垂直跳び?じゃあ見てから次行こっかなー」

「ゆず先輩に見られたら俺、ドキドキして全然跳べないかも」

「そんなことないでしょーが。ホラ早く跳んできなさい」



先に前田くんが跳ぶ。

83センチと82センチだった。


「ゆず先輩とほとんど変わんねぇ!!!!!」




次は高遠くんの番。


ただの垂直跳びでも綺麗に宙に浮いた。


そして本日最大のどよめき。



「100センチちょうど」



大歓声が上がった。




< 29 / 503 >

この作品をシェア

pagetop