その背中、抱きしめて 【上】
高遠くんは本当に喋らないし、話しかけてもそっけない。
「はい」とか「いえ」とか「あぁ」とかしか発さない。
今年の新入部員は結構明るい子が多いから、余計目立ってクールに見えちゃうんだよね。
いつも一緒にいる前田くんいわく
「俺が一方的に喋ってるからそれでいいんです。聞いてるか聞いてないかわかんないけど、あんなすごい奴と一緒にいるだけで本望ですよ!」
健気な子だなぁ。
「あ、もしかして前田くんと高遠くんもこれから垂直跳び?じゃあ見てから次行こっかなー」
「ゆず先輩に見られたら俺、ドキドキして全然跳べないかも」
「そんなことないでしょーが。ホラ早く跳んできなさい」
先に前田くんが跳ぶ。
83センチと82センチだった。
「ゆず先輩とほとんど変わんねぇ!!!!!」
次は高遠くんの番。
ただの垂直跳びでも綺麗に宙に浮いた。
そして本日最大のどよめき。
「100センチちょうど」
大歓声が上がった。