その背中、抱きしめて 【上】

新たな風




中間テストまであと2週間弱。

自力でやるには、もう勉強を始めないと全然間に合わない。

(それにしたって平均点いくかいかないかってところよね)

今日、部活ないから市の図書館寄って帰ろっと。

会うはずないんだけど、あまり学校にいたくない…。


「ゆず、じゃーねー」

駅でさくらちゃんと羽柴くんと別れて、図書館に向かった。

(久しぶりだなぁ図書館)

自習スペースはほとんど埋まっていて、残り1席。

制服着た高校生や大学生?予備校生?が多い。

(ラッキー!ツイてる!)

席に座って教科書とノートを出す。

始めて少し経った頃、隣の人に肩を叩かれた。


「柚香先輩」


振り向くと見たことある顔。

「やっぱり柚香先輩だ。覚えてますか?清水です」

あ。

高遠くん家で会った、芦澤学園の…。

「高遠くんのお友達の清水くんだよね」

「やった、覚えててくれたんだ。どうしたんですか?テスト勉強?」

相変わらず人なつっこい笑顔で話しかけてくれる。

「そう。再来週中間テストなんだ。ちょうど今日部活休みだから勉強して帰ろうと思って」

「俺も一緒。うちは来週だから今日から部活ないんですよ。家より図書館の方が捗りますよね」

うちの学校はテスト前1週間部活休みになるけど、強豪はほんの数日しか休みないんだ…。

それで勉強しなきゃいけないんだから大変だよね。

「勉強終わったら駅前でお茶しません?頭疲れちゃうから、勉強お疲れさん会」

「いいね。閉館まで?」

18時の閉館まで勉強することにした。



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