その背中、抱きしめて 【上】
「…バレーやりたくなっちゃうなぁ」
シューズを見ながら独り言。
マネージャーも楽しいけど、やっぱりプレーヤーの楽しさを知ってるから。
ショップに来ちゃうと、ジワジワ欲望が頭をもたげる。
壁に飾ってあるボールを取って小さくオーバーハンドで直上パスをしてみる。
(やりたいなぁ…)
レジで会計を終えた高遠くんが帰ってきた。
ボールを元の位置に置いて、並んでお店を出る。
「先輩、今日付き合ってくれてありがとう」
「いいえ、どういたしまして。ていうか、私も楽しかった。久々にお店で色々見ちゃうとまたバレーやりたくなっちゃうね」
やれないけどさ。
この膝と肩の爆弾を抱えてる限り、思いっきりバレーは出来ない。
「試合形式の練習の時、先輩入ったら?どうせ1人足りないんだし」
フォーメーション確認を含めて、練習試合が近い日の練習は、メンバー組と控え組で試合形式の練習をするけど…。
「女子が入ったら足手まといだよ。しかも私2年半もブランクあるし」
「この間芦澤とかと練習試合した時のあのスパイク見た限りじゃブランクなんて全然感じないよ」
いやいや、やっぱり自分の中で多少なりとも違和感あったし、男子の中じゃ本当に足手まといだよ。