その背中、抱きしめて 【上】
高遠くんの後輩クンたちと合流しやすいように、高遠くんの地元のファミレスに入った。
平日のお昼前だからまだ席に余裕があって、窓側席をゲット。
ランチを食べ終わってから、高遠くんが後輩クンに電話をかけた。
さすが地元、自転車だから10分くらいで来るらしい。
「どんな子たちなの?」
「うるさいよ。俺らの1コ下ってやたらテンション高いやつばっかでさ。集まればお祭り騒ぎになるから疲れる」
へぇ。
そんな子たちに囲まれてたんだ、高遠くん。
でも清水くんも明るいし、楽しかったんだろうな部活。
そんな話をしてるうちに
「あ、来た」
高遠くんがお店の入口に向かって手のひらをヒラヒラさせる。
「翔先輩、お久しぶりです!」
満面の笑顔で現れた2人の男の子。
高遠くんは
「お前らこっち座れ」
って自分の座ってたところを指さして、私の隣に座った。
「こんにちは!翔先輩憧れの先輩ですよね!?」
「しかも今、翔先輩の彼女さんなんですよね!?」
いきなり早口で質問攻撃。
たしかにテンション高い。
(でも元気いっぱいでいいなぁ)
「お前らうるさい。周りに迷惑」
高遠くんが眉間にしわを寄せて2人を黙らせる。
(ちゃんと先輩してるんだ)
何だか嬉しくなっちゃう。
高遠くんの知らない一面が見れて。