氷の魔女の春さがし
 スリサズと父は、村の友達に「来年の春にまた来る」と約束をして、雪が降る前に山を離れた。

 その約束は果たされなかった。

 冬の間に父が死に、スリサズは親戚の勧めで魔法学校に入ったが、ずっと父に連れられて旅ばかりしていた少女には由緒ある寮での暮らしは監獄のように感じられ、卒業を待たずに逃げ出した。

 以来、冒険者となった少女は、父と通った道をたった一人でたどる旅を続けている。
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