氷の魔女の春さがし
 その存在は、肩、胸、腰と、徐々に上がって、やがて全身を現した。

 まるで墓から這い出すゾンビのような登場の仕方だが、しかしその全身は聖なる光に包まれ輝いている。

 山の女神は、寝過ぎで頭痛がするとでも言いたげな……

 不機嫌さの中にノンキさがただよう顔でスリサズとハロルドを交互に見やり……

 やがて鞄の横に出しっぱなしになっていた封筒に気がついて、嬉しそうに手に取った。
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