モテ系同期と偽装恋愛!?
「紗姫、もう着くよ、起きて」
耳に届いた声にハッと目を開ける。
しまった……疲れている横山くんをゆっくり寝かせてあげて、ギリギリで起こそうと思っていたのに、逆に起こされてしまった。
彼は荷物棚からふたり分の鞄を下ろしてくれていて、私を見下ろすその顔が、なぜか赤いように感じた。
クーラーの程度に効いた車内は私にはちょうどよい室温だが、横山くんには暑かったのだろうか?
それならジャケットを脱げばよかったのに……そう思っていたら、はにかむような笑顔を向けられた。
「紗姫の寝顔、見ちまった。得した気分」
え……顔が赤いのは、それが理由……?
高飛車女を貫きたい私としては「なに勝手に見てるのよ」と文句を言うべきかもしれないが、私も彼の寝顔を覗き見てしまったことを思い出し、文句を言うのをためらわれた。
どう反応していいのか分からず困る私。
すると彼は、しまったと言いたげな顔をする。
「変なこと言ってゴメン。俺って、こんなんだから嫌われるんだろうな……」
違うけど……嫌いじゃないと言えず、黙るしかなかった。
やっぱり気まずい。
普通にするのが、こんなに難しいなんて……。
速度を落とす新幹線はホームに入り、到着を知らせるアナウンスが流れていた。
周囲の乗客が数人立ち上がり、開いたドアに向けてゾロゾロと進んでいく。
私の荷物まで持って、通路を歩き出した横山くん。
「自分で持つから」とも言い出せない私は、彼の後ろを困り顔で付いて行った。