モテ系同期と偽装恋愛!?

急に話しかけた私に、横山くんは驚いてから声を上げて笑った。

「紗姫が運転?
俺、まだ死にたくないんだけど」

「な、なによ。ここからしばらく一本道だし、カーナビも付いてるし、私にだって運転できるわよ。多分……」

「ほらほら、本当は自信ないんだろ。
ゴーカート、酷かったもんな〜」

ゴーカートと言われて、遊園地デートのことを意識し、体を固くしてしまった。

隣で横山くんも、マズイと言いたげな顔をしている。

やっぱり私だけじゃなく、横山くんも普通でいるのは難しいみたい。

あのデートのせいで、今までになかった感情がお互いに湧いているのだから。

車はまだ駐車スペースから少しも動いていなかった。

無言の間が数秒続いて気まずさが最高潮に達すると、内心うろたえる私に向けて、彼が思い切ったように口を開いた。

「遊園のこと……ごめんな」

「え?」

謝られて驚く。彼を傷つけたのは私の方で、謝るべきは私だと、ずっと気にしていたから。

横山くんはギアをパーキングに戻し、右手をハンドルから外して前髪を掻き上げた。

それから小さく溜息をついて、静かな声で言葉を付け足した。

「言い訳がましいけど、紗姫に楽しんでもらいたかっただけなんだ。結果は逆になっちまって……反省してる」

どうしようという思いが、心の中で膨らんでいく。
非のない彼に謝らせている自分を、悪者のように感じていた。

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