モテ系同期と偽装恋愛!?
謝ってほしくないのに横山くんはまだ「本当にごめん」と話し続けていて、たまらずそれを遮って「違うの!」と声を上げてしまった。
「違うって……なにが?」
「あ……ええと、楽しくなかった訳じゃなくて……楽しかったの……。
ゴーカートもメリーゴーランドも、無理して笑っていた訳じゃないから……」
それだけは誤解しないでほしいと思ってそう言うと、横山くんは目を瞬かせてから、戸惑いと期待の混ざったような顔でマジマジと私を見た。
「俺とのデート、楽しかったの?」
困ったけれど、楽しかった……観覧車に乗るまでは。
観覧車の中で震えて泣いたり、降りてから逃げ出したりしたことの理由は話せないので、やはり『嫌いだから』という言葉は訂正できない。
それで、彼の問いに頷いてから目を逸らし、予防線を張った。
「楽しかったけど、二度と誘わないで。
その理由は……ごめんなさい、言いたくないから聞かないで……」
説明できるのはこれが精一杯。
振り回しているみたいで申し訳ないが、これ以上話すと素顔を見せることになってしまう。
運転席から再び小さな溜息が聞こえた。
ギアがドライブに入れられ、車がゆっくりと動き出す。
カーナビが「その先、左方向です」と独り言を言った後に、横山くんも独り言を呟いた。
「紗姫って難しいな……。
すごく複雑なものを抱えていそう……」