モテ系同期と偽装恋愛!?

違うよ、横山くん……複雑ではなく、単純に男性が怖いだけ……。

私は決して難しい人間でもない。
ただの臆病な泣き虫なんだよ……。


ともあれ先ほどの会話をキッカケに、張り詰めていた車内の空気が幾らか緩んだ気がする。

主に仕事についての会話を時々交わし、道の駅を出てから40分ほどで目的地付近にやってきた。

「へぇ、あれが葉王の長野工場か。
さすが業界最王手、でかいな」

山間の田舎町は住宅地を抜けると畑が広がり、その真ん中に葉王の長野工場がドンと立っている。

緑の中の薄い水色の大きな工場は目立つので、遠目にも分かりやすかった。

そこに行く前に私たちは道を一本それて、上り坂に車を走らせる。

今は13時30分を少し過ぎたところで、チェックインには早い時間だが、先に荷物を預かってもらおうと今夜泊まる宿に向かっていた。

緩やかな傾斜をつけた田舎道を上って行くと、緑の木々に囲まれた中に、急に鄙びた建物が数軒見えてきた。

一番手前にあるのは外壁の塗装の劣化が激しい3階建てのビルで、昭和を感じる看板にスナックや居酒屋の名前が並んでいる。

昼間なので看板に明かりは灯らず、そのせいか廃墟のように見えなくもない。

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