モテ系同期と偽装恋愛!?
おばあさんはカウンター越しに私と横山くんを交互に見て言った。
「お泊りかや〜?
あいにく満室だに、すんませんね〜」
「いえ、僕らはネットで予約を入れていますので」
「はぁ? 納豆の予約?」
「あ……納豆ではなく、ネット……。
とにかく予約は入れてます。チェックインの時間は15時からですよね。荷物だけ先に預かっていただきたいのですが」
色々な面で大丈夫だろうかと心配になるおばあさんだったが、なんとか予約客であることと、荷物を預けたいという要望は理解してもらえた。
「あ〜荷物かや」と、おばあさんは、お預かり伝票と書かれた用紙を横山くんに渡す。
彼がふたり分の氏名と連絡先等を記入しておばあさんに返し、ついでに宿泊予約者が須田係長から横山くんに変更したことも伝えた。
須田係長の名前のままで泊まっても不都合はないのに、わざわざ変更を伝える辺り、横山くんは真面目な人だ。
そんなことを思っていたら、預かり伝票に記入した私たちふたり分の氏名を見て、おばあさんはホエホエと変わった笑い方をした。
「新婚さんかえ〜?」
え……その言葉に目を丸くしたが、夫婦に間違われた理由は分かるので驚きの波はすぐに引く。
横山遼介と横山紗姫、偶然にも私たちは同じ名字だから。
横山くんが苦笑いして「違います」と否定してくれたのだが、おばあさんの耳には入っていないのか、壁を指差して勘違いの話を続けた。
「あんた方、祭りに来たんだら?
あんじゃねぇ、あんじゃねぇ、きっと子宝に恵まれるだに」