モテ系同期と偽装恋愛!?
宿を出た私たちは手土産を下げて、約束の14時に葉王長野工場を訪問する。
そして約2時間の滞在の後、工場を出ようとしているところだった。
対応してくれた40代男性、草沼さんに、玄関で頭を下げる。
すると草沼さんは横山くんの背中をバシバシ叩いて、笑いながら言った。
「いや〜楽しかった。
遼介くん、君はすごいね」
横山くんの隣で営業スマイルを浮かべている私も、同じ感想を抱いていたため、つい頷いてしまった。
横山くんはすごい。
まさかこんなにも話術が巧みだなんて……。
ここに来るのは3度目の私より、彼の方が初めから打ち解けていた。
名刺交換をし、初めましての挨拶をした5分後には、遼介くんと名前で呼ばれるほどに。
横山がふたりいてややこしいからという理由もあるだろうけれど、それにしても下の名前で呼ばれるほどに親しみを与えるなんて、まさかという思いだ。
滞在時間の3分の1は工場内を案内してもらい、残りの3分の2は横山くんの独壇場。
原料の買付先のインドや東南アジア、中国での失敗談などをユーモラスに語る彼に、草沼さんを始め、対応してくれた葉王の男性社員さんたちはお腹を抱えて大笑いしていた。
『それで民族衣装着せられて、やけに豪華にもてなしてくれるな〜と思ったら、結婚式だったんですよ。それもグエンさんの娘さんと僕の。危うく婿養子契約させられるところでした〜』
笑いを取るだけでは当然終わらない。
面白エピソードに上手く関連付けて、横山くんは抜かりなく商品の説明を織り交ぜる。