モテ系同期と偽装恋愛!?
『そうそう、グエンさんの工場で珍しい香り成分見つけたんです。日本では馴染みがないけど、主に北欧のメーカーに輸出されているそうで。
北欧の香りと名付けたら、日本でもナチュラル志向の主婦層に人気が出る気がするんですけど、葉王さんでどうでしょう?』
『北欧の香りか〜。パリ風、ニューヨーク風と、シリーズで出すと面白いかもな〜。よし、本社に掛け合ってみるか』
つい聞き役に徹してしまった私の隣では、話がトントン拍子に進み、葉王さんで新しい柔軟剤のプロジェクトを立ち上げる話にまでなってしまった。
今までも横山くんのことは優秀な商社マンだと認識していたが、今日、彼と初めて一緒に仕事をしてみて、その感情がもっと具体的になっている。
相手を楽しませつつ、こちらの商品を自然に売り込める能力者。
横山くんて、素晴らしい……。
よほど横山くんが気に入ったのか、草沼さんは玄関から出て車に乗り込むまで付いてきてくれた。
「じゃあ、18時半にスナック葵で」
そう言って笑顔で一旦別れた後は、私たちは再びふたりきりになる。
横山くんの運転する車が工場の敷地内から出ると、私は作り笑顔を消して溜息をついてしまった。
それは音に出さない、小さな溜息。
それなのに、運転中の彼に気づかれてしまう。