モテ系同期と偽装恋愛!?
フライパンに油を引いて具材を炒め始めると、隣では彼が上手な鼻歌混じりにサラダを盛り付けてくれた。
グツグツと茹でられる水餃子に、色鮮やかなグリーンサラダ。それと、フライパンから立ち上る香ばしい醤油の香り。
私の口もとには、自然と笑みが浮かんでいた。
「遼介くん……」
「ん、なに?」
「こういうのって初めて。楽しいね」
この部屋に遊びに来てくれたことがある人は、家族の他には桃ちゃんだけ。
その桃ちゃんとだって並んでキッチンに立つことはなく、一緒に料理をすることが新鮮で、心が弾むのを感じていた。
笑顔を向ける私に、彼はホッとしたように頬を緩める。
「俺のこと、怖くない?」
「うん、怖くないよ。今は」
「今は……か。まあ、家に上がらせてくれただけでもかなりの前進だし、喜んでおこうかな」
多めに作った炒飯は「すげー美味い!」と大袈裟に褒めてくれる彼の胃袋に、瞬く間に消えていった。
彼の皿には2人前くらいの量があったのに、気持ちいいほどの食欲……。
ふたり用のダイニングテーブルに向かい合って夕食を楽しみながら、不思議な気持ちになっていた。
長野出張はたったの3日前のことで、それ以前の私は近づこうとする遼介くんを拒否していた。
それなのに今、私の家で一緒に料理を作って食べて、この状況を心から楽しんでいるのだから……。