モテ系同期と偽装恋愛!?

よくよく考えてみると、外出自体が随分と楽になっている。

すれ違う男性たちを過剰に意識しないで済む分、道端に咲く花や空の青さを楽しむ余裕ができたし、こんな場所に新しい雑貨屋ができたのかと、景色の変化に気づくことが多くなった気がする。

ついに治ったのかな、私……これは、すごい!

急いで階段を駆け下り、ライフサイエンス事業部の自分席に戻ると、鞄の中からスマホを取り出した。

この事実を真っ先に遼介くんに伝えたかった。
それは100パーセント彼のお陰であるからだ。

先ほどの出来事と、怖くなかったので治ったのかもしれないという推測、それを嬉しさいっぱいのテンション高めの文章で、彼にメールを送信した。

多分遼介くんは、自宅で出社の準備をしている頃だと思う。

ワクワクして返事を待っていたら、30秒後に返ってきた彼のメールは、予想していた反応と随分違うものだった。

『ぶつかった奴って、総務の誰?』

男性に慣れるための特訓をしてくれた彼なら、私と一緒に喜んでくれるものだと思っていたのに……。

絵文字もついていない、やけに短い質問だけの文章は彼らしくなくて、スマホの向こう側の不愉快そうな表情を想像してしまった。

戸惑いつつ、名前は知らないが一年生社員だと返信したら、『もうすぐ出社するから後で詳しく教えて』と、またしても不機嫌そうな短文を返されて終わった。

暗転したスマホ画面を見つめて、喜んでくれない理由を考える。

もしかして、嫉妬だろうか……。

それにやっと気づいた私は、胸を触られたことまで書いてしまったことを後悔する。

でも、言い訳させてもらうと、ヤキモチを妬かせたかった訳じゃなく、それほどのことをされても大丈夫だったという、目覚ましい特訓の成果を伝えたかっただけなのに……。

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