モテ系同期と偽装恋愛!?

黙っていることを肯定の意味に捉えた彼女は、軽蔑するような視線を向け、それから踵を返した。

「好きじゃないのなら、早く別れて下さい。
彼のことを本気で好きな女性がたくさんいるんです。私もその内のひとりですけど……」

そんな言葉を残して、給湯室から出て行く。

彼女が去った後の廊下を見つめながら、私は"別れ"という言葉を心の中で反芻していた。

私と遼介くんの今の関係には、いつか終わりが来る。

夏の長野出張で、彼は私に言った。
男性恐怖症を治して、私が誰かを好きになり、その人と交際を始める時まで偽の彼氏として私を守ると。

偽の恋人関係が終わるのは、私に本物の彼氏ができた時ということだが、それは一体いつになるのか……。

誰かに恋する自分が想像できなかった。

このまま誰にも恋することができなければ、遼介くんは私の偽の彼氏役をずっと続ける気だろうか。

それは失礼なのではないかという気持ちが芽生えていた。

彼に対しても、長谷川さんたちのように彼に恋する女性たちに対しても……。

自分の考えの中に沈んでいると、正面に回った桃ちゃんが私の顔を覗き込み、眉間にシワを寄せた。

< 222 / 265 >

この作品をシェア

pagetop