モテ系同期と偽装恋愛!?
忙しく動く私のエプロンのポケットで、スマホが震える。
それは遼介くんからで、今会社を出たというお知らせメールだった。
彼の足なら10分で着いてしまう。
急がないと……。
返信している暇もなく、海老と白身魚を揚げ終えてレモンとパセリを添えて盛り付ける。
次にピザをオーブンに入れて、散らかしたキッチンを大急ぎで片付けていたら、インターホンが鳴った。
水道の水を止め、濡れた手をエプロンで拭きながらインターホンの画面を見ると、笑顔の遼介くん。
エントランスのオートロックを解除して少しすると、今度は玄関チャイムが鳴った。
洗い物が終わらなかった……。
それを気にしながら鍵を開けて彼を迎え入れると、「旨そうな匂いがする」と言われた。
それから、洋菓子店の名前の入った小さな箱を手渡される。
「お土産にケーキ買ってきた」
それを見て「あっ!」と声を上げてしまった理由は、誕生日ケーキを買い忘れていたせいだ。
メニューのことで頭がいっぱいで、ケーキが必要だということがスッポリ抜け落ちていた。
本人にケーキを買わせてしまう、私って……。
しかも誕生日用でないのは、見て分かる。
箱の大きさからして、きっと中身はカットケーキ2個だから。
しまったという顔をする私に「ケーキじゃないデザートがよかった?」と聞くので、リビングに彼を通しながら、もごもごと白状した。
「違うの……ホールケーキを用意するのを忘れていて……ごめんね」