モテ系同期と偽装恋愛!?
ダイニングテーブルに向かい合う。
遼介くんは、本当に美味しそうに食べてくれた。
余って当然な量を残さず全て平らげて、途中でズボンのベルトを緩めているから、おかしくて笑ってしまった。
食後には紅茶を入れて、遼介くんが買ってきてくれたチョコレートのカットケーキを並べる。
バースデー用のロウソクの代わりに、うちにあったアロマキャンドルに火を灯し、ふたつのケーキの間に置いた。
彼と違い歌唱力のない私が歌う、所々音を外したバースデーソング。
優しい笑顔で聞いてくれる彼は、途中から上手にハモってくれて、アロマキャンドルを吹き消した後は、私の拍手とふたりの笑い声が狭いリビングに響いた。
早速食べようとカットケーキを包むセロファンを剥がす私に対し、彼はテーブルの上で腕組みをして、私を見つめるだけ。
フォークに刺したケーキを口に入れ、大好きなチョコレートの味を楽しみながら、首を傾げて彼に聞く。
「食べないの? お腹いっぱい?」
「違うよ。胸がいっぱいで入らない」
目を瞬かせて「え?」と聞き返すと、目を細めた彼が眩しそうに私を見る。
「紗姫は優しいね。俺は偽物彼氏で、イベント事はスルーされても仕方ない立場にあるのに、こうして祝ってくれる。嬉しくて、胸が痛い……」