モテ系同期と偽装恋愛!?
そんな言葉を聞いてしまったせいか、目の前で笑っているはずの彼の顔が、泣きそうなのを堪えているような笑顔に見えてしまった。
ケーキのふた切れ目を口に運ぼうとして、途中で止めてフォークを置く。
泳がせてしまった視線を、火の消えたアロマキャンドルに止め、申し訳なさいっぱいで呟いた。
「ごめんね……私のために、彼氏役をやらせてしまって……」
「俺が言い出したことだよ。しかも、利用してと言いながら、側にいればいつか本物の彼氏に昇格できるんじゃないかと企んでいた。
そうなれないのは、俺の力不足。紗姫のせいじゃないから謝らないで」
確かに言い出したのは遼介くんだが、断らずにその計画に乗って、その結果、彼を苦しめているのは私だ。
彼のお陰で、仮面を被ることなく過ごせるようになった。
今は男性社員に怯えることがなくなり、女子社員から虐められることもなく、過去とは違う平穏な日常を過ごすことができて、幸せだと感じている。
遼介くんは大きな幸せを与えてくれたのに、私は……何もお返しできないばかりか、苦しめるだけなんて……。
揺れる心は、ある方向へと向かっていた。
着ているブラウスの胸もとをギュッと握りしめてから手を離し、膨らんだ罪悪感に突き動かされるように立ち上がった。