モテ系同期と偽装恋愛!?
向かった先は、すぐそこにあるソファー。
その上の通勤鞄の中からお財布を取り出し、お金ではない"ある物"だけを握りしめて、彼の方を向いた。
「紗姫……?」
心臓が爆音を響かせているのは、私にとってかなり無茶な決意を固めたせいだった。
不思議そうな顔をして、ダイニングの椅子に座っている彼。
その横に立ち、ある物を握りしめている右手を彼の目の前に突き出した。
「受け取ってほしい物があるの」
赤い顔でそう言うと、私の拳の下に彼の手の平が差し出された。
私がゆっくりと拳を開いたら……桃ちゃんからもらった銀色の天使が、彼の手の平に舞い降りた。
恥ずかしさに目を瞑ってしまったので彼の表情は見えない。
でも、息を飲む音が耳に聞こえ、言葉が出ないほどに驚かせてしまったことは推測できた。
それから無言の間が数秒続く。
驚きの中で彼がなにを考えているのかと気になったが、私はまだ固く瞑った目を開けることができずにいた。
すると突然、沈黙を破るかのようにガタンと椅子が音を立てたので、驚いて目を開けた。
その直後に体が浮き、視界が傾いて、あっと思った時には横抱きに抱え上げられていた。