モテ系同期と偽装恋愛!?

残すは、人事部長がなんと言うのか……。

彼の腕の中で顔を上げ、恐る恐る横を見る。

周囲のお祝いムードが後押ししてくれたお陰か、人事部長の表情から厳しさが消えていた。

頭をポリポリと掻いて、苦笑いまでしている。

「あー、そういうことなら、ふたりで行ってもらうしかないな。
その代わり、横山、必ず成功させてくれよ」

「はい。全力でやり遂げるとお約束します」

「頼むぞ。いや、しかし、参ったな。
最近の若い奴らは、意外と熱いな……」

人垣を掻き分けて、人事部長は階段へと去って行った。

それを見送ってから彼の方に顔を戻すと、直後にもらってしまった熱いキス。

遼介くん、ここ社内で……皆んな見てるのに……。

耳には野次や歓声や、女子社員の悲鳴まで聞こえてくる。

思わずスーツの胸を押してしまったが、逆に腕に力が込められ、より強く抱きしめられただけ。
キスもさらに深くなっただけだった。

恥ずかしいけれど、それ以上に嬉しくて幸せで、涙が止まらない。

同時に未来が楽しみで、期待に胸が膨らんでいく。

唇を合わせ、心の中で話しかける。

ねぇ、遼介くん……ふたりで歩む道には、どんな花が咲くのだろう……。

いつか振り返ったときに、その道が……花いっぱいになっていたら嬉しいね……。



【完】

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