モテ系同期と偽装恋愛!?
「ふーん、そんなことがあったんだ。
それは遼介、かなり嬉しかったことだろうね」
桃ちゃんのそんな感想に首を傾げてしまった。
大雑把に説明しただけなので、横山くんがどんな表情でどんな言葉を返してきたのか、桃ちゃんは知らないはず。
それなのに彼がすごく喜んでいたことが、どうして分かるのだろう……。
そのことに少々の引っかかりを感じたが、それよりも気にしていることが他にあるので、気持ちはすぐに別の方に向いてしまった。
横山くんに『実は映画観て泣くタイプなんだろう』と言われたことを気にしていた。
桃ちゃんの前でだけ、私が普通に可愛く笑うとも言われた気がする。
今まで上手く高飛車な演技をしてきたつもりでいたけれど、それって、怪しまれているということだろうか……。
缶珈琲を持ち上げた桃ちゃんは、口を付けずにテーブルに置いた。
「空になっちゃった。紗姫のひと口ちょうだい」
そう言って、私のレモンティーを飲んでいる。
私の表情が暗かったせいか勘違いさせてしまったようで「ごめん、嫌だった?」と聞かれてしまった。
慌ててそれを否定し、考えていたことを相談した。
「横山くんに気づかれている気がして……」