モテ系同期と偽装恋愛!?
桃ちゃんに相談しながら、心の中にますます疑惑が膨らむ。
横山くんは私が高飛車女じゃなく、気の弱いただの泣き虫だと気付いていたのではないだろうか……もしかすると、かなり前から。
それで、皆んなの前で私の仮面を剥がしてやろうと、いつも意地悪な絡み方をしていたのでは……そんな勝手な推理をしてしまった。
しかし、その憶測は桃ちゃんの「まさか」のひと言で却下される。
「遼介は勘繰るような奴じゃないよ。もっと単純で素直な思考回路をしているから。紗姫のことは気の強い女だと思ってる」
「そっか……」
「もしかして、私が遼介にバラしたと考えてた?」
「ええっ⁉︎ そんなこと全く考えてないよ!」
話がおかしな方向に流れ、私は慌てた。
入社間もない時に、うっかり泣いている姿を見られてしまってから約5年。桃ちゃんは私を理解して側にいてくれる。
そんな大切な友人を疑いたくないし、現にそんなことは微塵も考えていなかった。
桃ちゃんのことは全力で信じていると、椅子から身を乗り出す勢いで訴えたら、「分かった、分かった」と宥められ苦笑いされてしまった。
「とにかく、バレてないことは保証するから安心して。遼介はただ、取っ掛かりが欲しくて絡んでいくだけで……」
「取っ掛かり?」
「あ、なんでもない。それより、そのキャラいつまで続けるの? 真逆な自分を演じるのって、しんどくない?」
「しんどい。でも……他に身を守る手段がないから……」