モテ系同期と偽装恋愛!?
鼻先をツンと上に向け、ヒールをわざとカツカツ鳴らして歩きながら、いつも嫌な気持ちがしている。
腰に両手を当て、見下すような視線を男性に向けながら、傷つけるような態度を取って申し訳ないと心で詫びている。
苦しくて心が痛いから、止められるものなら止めたい。
その思いは常に心にあるので、他にいい方法があるなら教えてほしいと聞いてみた。
すると桃ちゃんは少し考えてから、眉をハの字に傾けて「ごめん」と謝ってきた。
「男が苦手な紗姫に、彼氏を作って守ってもらえばとは言えないしね。
下手なアドバイスをした結果、失敗してイジメにあっても責任取れないし、変なこと言ってごめん」
「ううん、心配してくれて嬉しいよ……」
桃ちゃんは曇り顏をしているけれど、私の口もとには自然と笑みが浮かび、心がほっこり温かくなっていた。
桃ちゃんの正直なところも好き。
辛い学生時代、私のことを心配してくれる女子も少しはいた。
こうしたらいい、ああしたらいいと色々なアドバイスをしてくれたけれど、どれも功を奏せず、逆に状況は悪化して行った。
その内に心配してくれていた少数の女子も、とばっちりを受けたくないからと私から離れていき……。
無責任なアドバイスはいらない。桃ちゃんのように側にいてくれるだけでいい。
今は高飛車戦法で身を守れているのだから、しんどくてもこれを続ける方が安全でいいと思う。