モテ系同期と偽装恋愛!?
いいな……異性の友達か……。
自然に笑い合えるふたりを見て、羨ましく感じていた。
私にも小学校低学年の頃までは、男の子の友達がいた。今の桃ちゃんと横山くんみたいに、ごく普通のこととして一緒に笑っていた覚えがある。
でも、それ以降は男の子の友達はいない。
作れるわけがない。すぐに付き合っているとか、狙っているとか、変な噂を立てられてしまうから。
そして今では本当の自分を隠しているせいで、同性とも普通の友人関係を築き難くなっている。
すぐ側にいるのに、笑い合うふたりを遠い存在のように感じてしまった。
羨ましい……本当は私も、桃ちゃんみたいにたくさんの友達が欲しかった……。
ひとしきり笑った後、横山くんが姿勢を変えた。
組んでいた腕を外して両手をズボンのポケットに突っ込み、重心を左足から右足に移す。
そして、桃ちゃんから私に視線も変えた。
「ところで、紗姫も芋焼酎が好きなの?」
その問いかけにギクリとしたのは、会話を立ち聞きされていたと知ったからだ。
芋焼酎の話だけなら困らないが、その前のトラウマ話から聞かれてしまったのなら、非常にマズイことになる。
真顔のまま、心の中だけで焦る私はすぐに返事ができず、代わりに桃ちゃんが対応してくれた。