モテ系同期と偽装恋愛!?
「げ、どこから聞いてたのよ」
「今度ふたりで飲みに行こうと、浅倉が言ったところから」
内心ビクビクしていた私は、その返答に心の中で大きく息を吐き出した。
そこからだと、ちょうどトラウマ話が終わった後で、私の秘密はバレていないはず。
よかった……と心に余裕ができたので、つい横山くんに文句を言ってしまった。
「立ち聞きなんて嫌らしい」
「お前が言うのか。今朝の俺の恥ずかしい場面を覗いていたくせに」
「あ……」
「これで、おあいこってことだろ」
女子社員からセクシーだと噂される、やや垂れ目の二重の瞳が狭まり、形のよい唇を横に引いて、彼は悪戯っ子のように二ヒヒと笑う。
横山くんの笑顔を見ながら、泣いていた長谷川さんの顔を思い出してしまい、申し訳なさが再び込み上げてきた。
「あれは……私が悪かったと思ってる。ごめんなさい……」
本来なら気を抜くことのできるこの場所のせいか、それとも桃ちゃんが隣にいてくれるからか、思わず本心が口を突いて出てしまった。
言ってしまってから、またしてもボロを出してしまったと気付き、それをごまかすためにフンと鼻を鳴らしてそっぽを向く。
「やっぱツンデレだな」と笑って流した横山くんは、会話の相手を桃ちゃんに戻した。