モテ系同期と偽装恋愛!?
一気に込み上げる恐怖に、体が震えていた。
怖い……男の人が怖い……。
これは私の不注意からくるアクシデント。
横山くんが狙って触ってきた訳ではないと頭で理解していても、どうしても心が恐怖を感じてしまうのだ。
私が怯えて震えていることは、動くコーヒーカップの中では気付かれていないのだろう。その証拠に彼は楽しそうに笑い声を上げていた。
やがて終了の時間となり、カップは緩やかに回転速度を落としていく。
たったの1、2分間が、私には数倍の長さに感じていた。
体にかかる遠心力から解放され、やっと動けるようになると、飛び退くように彼から離れて距離を取る。
心臓がバクバクと鳴り響き、泣きそうな気持ちになっている。それを気づかれてはいけないと、懸命に我慢していた。
「あー楽しかった」と、ひとりだけ満足している横山くんが完全に止まったカップの中で立ち上がる。
係りの人が開けてくれたドアから降りようとした彼は、肩越しに振り向いてやっと私の異変に気付いた。
「ん……? なに固まってんの?」
そう聞くということは、泣きそうな気持ちはどうやら表情に表れていないみたい。
よかった……。
地蔵のように固まったまま、大きく波打つ心に落ち着けと言い聞かせていたら、「降りたくないの? もう一回乗る?」と勘違いされてしまった。