モテ系同期と偽装恋愛!?
観覧車乗り場の数人の列に並んで順番を待っていると、前に立っているふたり組がカップルだと気づく。
中学生……いや、高校生くらいか。
ふたりは手を繋いでいるけれど、指先を引っ掛けるようなぎこちない繋ぎ方で、目を合わせたりもしない。
会話も少なく、付き合い立てなのかと想像させるような初々しいカップルだった。
ほとんどが親子連れの中、私たち以外にもデート中の人がいたのかと、何となく気になってしまった。
順番が来て、高校生カップルは19と書かれた赤いゴンドラに乗り込み、その次の20とナンバーの付いた青いゴンドラに、私と横山くんが乗り込む。
4人乗りのゴンドラに向かい合わせに座る。
ゴンドラが小さいせいか、それとも横山くんの足が長いからか、膝が触れてしまいそうで体を少し斜めにして、ゴンドラの側面の窓から外の景色に目を遣った。
係りの人にドアを閉められてしまうと、鼓動が2割り増しでドキドキしてしまう。
その理由はもちろん怖いから。
数時間のデートの間、横山くんからは危険な香りはしなかった。
子供っぽくはしゃいで楽しませてくれたりして、つい友達みたいな感覚に陥りそうな瞬間もあった。
だから横山くんに下心はないのだと、その部分には安心している。
それでも予想通りというべきか、狭い密室に男性とふたりきりになってしまうと、条件反射的に怖いという気持ちが勝手に湧いてきてしまうのだ。