モテ系同期と偽装恋愛!?
更に視点が上がりゴンドラが頂点にくると、見たくないものを見てしまった。
それは、暗い思い出の詰まった中学校。
私の実家はここから車で10分ほどの距離にあり、徒歩圏内にある中学校に通っていた。
点のように小さな民家の屋根がひしめく中に、当時通っていた中学校の校舎とグラウンドを見つけてしまったのだ。
途端に込み上げる苦しさと、悲しみ。
無意識に服の胸もとを右手で握りしめていて、その手が微かに震えていた。
「紗姫……?」
横山くんの呼びかける声が耳に聞こえているが、頭の中まで届かない。
遠くに見える3階建てのコンクリートの塊には、私の涙が染み付いている。
違うのに……私は友達を裏切ったりしないのに……ユウたちは話を聞いてくれなかった。
あれが私が女子に嫌われることになった最初の大きな出来事で、とりわけショックが大きく記憶に刻み込まれているのだが、中学を出て高校に行っても同じだった。
いや、告白ラッシュに合い、大変な目に合う頻度としては高校の方が酷かったかも。
話したこともない男の子たちが、私の性格なんか知らないくせに、好きだと言ってくる。
待ち伏せされたり、後をつけられたり、家にまで押しかけてきたりして……男性に関わると嫌な思いをするばかりで、あの頃の私は毎日のように泣いていた……。