モテ系同期と偽装恋愛!?

パンダチョコをもらった人たちが「ありがとう」とお礼を言っている声が聞こえる。

それから「他の人にも配ってくるね」という横山くんの声も……。

視界の端に立ち上がった彼のグレーのスーツが映り込み、鼓動がまた少し速度を上げてしまう。

目線を目の前のノートパソコンの画面に向け、仕事を始めているのに、遠い場所を動く横山くんが気になって仕方なかった。

その気持ちに抗うように、メールの受信箱を開いて、取引先からのメールをチェックする。

ええと、葉王の長野工場と、P&Cさんからも来てる……。

横山くんは端から順に回って、お土産を配っているみたい。

島本課長の「お、すまんな」という声がして、その後、中国出張の成果に関する「よくやった」というお褒めの言葉が聞こえてきた。

ひと言ふた言、話しながらお土産を配って歩く横山くんは、今、私の席がある通路に足を踏み入れたみたい。

彼の方を見ていないのに、気配を追ってしまう私。こんなんじゃいけないと自分に言い聞かせても、頭が勝手に横山くんのことを考えてしまうのだ。

パンダチョコ、私にも配られるのだろうか……。

前回のインド出張のお土産、唐辛子チョコは、私だけもらえなかった。

だから今回も、皆んなと同じパンダチョコはもらえないのではないだろうか。

だからといって、私にだけ特別なお土産があるはずだと、期待しているわけじゃないけれど……。

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