それは秘密です
って、思考が脱線してしまった。

とにかく杏ちゃんに電話をかけ、詳しい内容は明かさずに「ちょっと聞いてもらいたい事があるんだけど…」とだけ伝えた。

それで何かを察したらしい彼女は『じゃあ明日、お昼でも食べながら話そうか』と提案して来て、もちろん私に異論はなく、こうして二人のアパートの中間地点にある駅近くの、イタリアンレストランにて待ち合わせしたのだ。

西口を出て徒歩5分ほどの距離にある、本格石窯で焼き上げるピザが美味しいと評判のお店で、今までも何回か利用していた。

六島君のプライバシーに関わることだし、うかつな人には相談できないけれど、杏ちゃんになら大丈夫かな~と思って。

飄々としていてドライで、適度な距離感を保ちながら他人と接する人だけれど、いざ頼られたり相談されたりしたら突き放す事なく冷静で的確な助言をする。

そしてなんだかんだいって、実は情が深い人なのだという事が言葉や態度の端々に見え隠れしているのだ。

杏ちゃんこそまごうことなき『サバサバ系』、『姉御肌』な人だと思う。

世の中には自分でそれを言っちゃう人がいて、だけどいざ行動を共にしてみたらそれとは対極の位置にいた、というパターンも結構あるから。

『自称竹を割った性格』ほどアテにならんものはない。

とにかくそんな訳で、私と六島君の共通の友人でもあるし、この件を打ち明けるのは杏ちゃん以外には考えられなかった。
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